実際、菅首相は真理子夫人とともに迎賓館「和風別館」の夕食会で、もてなしている。
「もちろん天皇陛下は、外交儀礼は熟知されているはずです。たとえばバッハ会長と面会された際、陛下は深すぎない角度でお辞儀をなさった。流石です。上皇さまも不必要に深いお辞儀は、なさいませんでした」(多賀教授)
元通産官僚で評論家の八幡和郎・徳島文理大学教授は、そもそも開会式までに新型コロナワクチンの2回目が未接種なのは、明らかにおかしいと指摘する。
天皇陛下が1回目の接種を終えたのは7月6日。だが、このタイミングでは2回目の接種は3週間後の7月27日以降となり、東京五輪の開会式や要人らの接遇に間に合わなかった。
「国民と同じように政府の方針に従って接種を受けたいというご希望があったと、宮内庁は説明しています。だが、陛下ご自身の安全のためにも、世界のVIPへの配慮を考えても、論外というしかありません」
長官が「拝察」で吐露したように、天皇陛下が五輪での感染拡大を懸念しており、宮内庁が感染防止を本気で考えているのならば、開会式までに接種を完了させなかったのは、矛盾以外の何者でもない。
宮内庁は「個人情報にあたる」として、天皇陛下以外の皇族方の接種状況について公表を拒んでいる。
皇位継承順位2位で、皇嗣である秋篠宮さまの1回目のワクチンを接種が、開催直前の21日だったことすら、各社の周辺取材で報じられたのだ。皇后である雅子さまの接種についても、宮内庁は頑なに公表しようとしない。
八幡氏は、皇后陛下は、「両陛下」として陛下と行動を一緒にされるのだから、同じ扱いにすべきだ、と指摘する。
「ましてや夫である陛下は、海外の首脳やVIPの接遇をする以上、感染リスクの有無については明白にしておくべきで、『個人情報』という理屈は、通らない。皇后陛下が接種されていないのを明らかにしたくない、とさえ感じてしまう」
長年皇室を見てきた人物もこう首をかしげる。