ネット上で「カッコよすぎる」と取り上げられたのが、高藤が1年前にツイッターで綴った以下の文章だった。

< 2020年7月25日はオリンピックで僕が金メダルをとる日のはずでした。新型コロナウイルスの影響を受け1年延期になってしまったことは仕方ないと思います。さらには先日の豪雨でも多くの方が被害に遭われ、心から楽しめるオリンピックはできなかったと思います。今もコロナウイルスの感染は広がっており、本当に来年オリンピックが開催できるのかと不安な気持ちもあります。子供の時からの夢であるオリンピックチャンピオン。この夢に向かってどんなに辛い事も乗り越えてきました。今僕に出来る事は前を向き1日1日大切に努力を続けていく事だと思っています。一年後、『2020年では見られなかった高藤』を必ず皆さんに披露いたします。今後ともご声援のほどよろしくお願い致します。>

 有言実行で1年後に金メダルを獲得した高藤は表彰台で両手の拳を突き上げた。見る者の心を揺さぶる熱い戦いぶりだった。

 女子48キロの初出場・渡名喜風南も決勝戦で敗れたが、銀メダルを獲得した。準々決勝でリオデジャネイロ五輪金メダルのパレト(アルゼンチン)に腕ひしぎ十字固めで一本勝ちすると、準決勝で18、19年世界選手権の決勝で敗れているダリア・ビロディド(ウクライナ)に延長戦の末、寝技の関節技で仕留めた。決勝は前回王者のクラスニッキ(コソボ)に敗れたが、世界チャンピオン2人を破ってつかんだ銀メダルは大きな価値がある。

 決勝戦で敗れた後の後のインタビューでは、「自分の弱さが出た試合だったなと思います。最近ずっと決勝で勝てていなかったので、怖さがあった中で自分の弱さが出た。しっかりこの負けを認めていきたいと思います。ここまでコロナの中で大変な中でたくさんの人がサポートしてくれたので感謝の思いでいっぱいです」と涙を流しながらも言葉をしっかりと紡いだ。

 渡名喜は個性的な髪形も話題を呼んだ。サイドをツーブロックに借り上げて、長い髪を後ろに結う「マンバン(日本語でお団子の意味)ヘア」。

 海外では「サムライヘア」と呼ばれている。148センチと小柄だが鋭い眼光で体格に勝る相手に果敢に仕掛ける。その戦いぶりはまさにサムライだった。(安西憲春)

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