――(200メートル個人メドレーで銀メダル、400メートル個人メドレーで4位だった)17年の世界選手権のレースで「ゾーンに入っていた」と話していた。17年の自分を超えられた実感は?

 昨日も少し考えることがあって、やっぱり特にこの2年間は楽しくないレースも多くて、どうやったらあの17年の頃のように泳げるのかなとか、戻れるのかなって考えていたんですけど、たぶんもう、何もプレッシャーや怖さを知らなかったときに戻るのは絶対に無理だから、そのすべてを受け入れて泳ぐしかないというふうに、オリンピックの舞台で決めることができたので。今日もすごく落ち着いていてレースはできましたけど、やっぱり全然17年の頃とは違うものがあるなと思います。

――昨日も今日も平泳ぎではかなり差を広げていた、うまくいっていた要因。平井先生にレース前に勝つための戦略は?

 そうですね。気持ちは前を向いているといっても、やっぱり朝の時間なので、おそらく昨日より速く入ろうとか、思ってもエネルギーを使うだけでタイム的にはそこまで変わらないだろうとも平井先生とも言っていたので、最初の200(メートル)は落ちついて、昨日の平泳ぎはすごくいい泳ぎができたので、朝のアップに入ったときも感覚がよかったので、バック(背泳ぎ)でターンしたところからが勝負で、そこからギアを入れ替えていくという思っていたとおりのレースができた。

 平井先生には、レース前は「緊張する」って言っていたんですけど、「緊張して当たり前だから思い切っていくだけだぞ」ということと、「とにかく周りは見ずに自分の決めたレースをやったら大丈夫だから」と言われて落ち着いてレースができました。

――今シーズン決して絶好調という流れではなかったと思うんですけど、その期間中も金メダルを取るという目標をぶらさずにやってきたのか、違うところに目標を置きながらやってきたのか。また、調子を上げるきっかけになる出来事やターニングポイントがあれば教えてください。

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