マスコミ業界に詳しい「人生100年時代未来ビジョン研究所」の阪本節郎所長は、若者恋愛ドラマが相次ぐ点も、重点層狙いの一環だとみる。

「TBSが昨年放送した『恋はつづくよどこまでも』『この恋あたためますか』は、まさに重点世代を狙って高視聴率を獲得したと言われました。それに刺激されたのでしょう、今年になって日本テレビが『恋はDeepに』を、関西テレビが『大豆田とわ子と三人の元夫』をつくっています」

 ただし視聴率は、どちらもあまり芳しくないようだ。「ラヴィット!」の視聴率が低迷していることは、春からネットで話題になり続けている。

「若者恋愛路線も高視聴率とは言い難いところです」(阪本所長)

 低視聴率といえば、ダウンタウンの松本人志が6月、自らが出演した番組の視聴率が振るわなかったと報じられ、自身のツイッターでその記事を批判したことが話題を呼んだ。ここでもやはり、世帯視聴率は低くても、テレビ局が重視する層が見ているとして「コア視聴率が良かった」ことを反論材料に挙げていた。

 若者路線への転換が目立つTBSに新路線の効果について尋ねると、

「近年の改編は、重点ターゲットを中心に多くの方々に楽しんでいただく戦略の一環です。番組コンセプトや個々の企画については、重点ターゲット層をより意識して制作に取り組むようになっています」(社長室広報部)

 となると、気になるのは重点層から外れた50代以上の位置づけである。これからは“無視”されてしまうのか。

 先の境氏は、その傾向は否めないとみる。

「世帯視聴率だと高齢層をつかんだ番組が勝ちなんです。でもそれは若者には魅力のない番組で、要するにこれまでのテレビは若者を疎外していたとも言えます。これからは逆に高齢層を疎外するぐらいの勢いで番組を変えていくでしょうけど、もはや若者にテレビを見てもらうには手遅れではと危惧しています」

 一方、未来ビジョン研究所の阪本所長は、高齢層を外すことはテレビの自滅につながりかねないと指摘する。

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