「修学旅行は間違いなく府県を跨ぐ。(移動禁止と)言っている知事さんのところはすべて修学旅行を中止するのでしょうか」

 大阪市の場合、修学旅行先は岐阜県や長野県だ。もともとは今年春に予定されていたが、緊急事態宣言のために延期になっていた。

「子どもたちをぜひ行かせたいと思う反面、今のコロナの感染状況で万が一のことがあればと思うと…」

 こう話すのは、8月に修学旅行を予定している大阪市内の中学校関係者だ。この中学校では「大阪市の方針は緊急事態宣言が解除されれば、実施。しかし、松井市長の発言もあり、今のところ実施で準備している」と言う。プリントを配布し、保護者説明会などを重ねてきた。しかし、コロナ第5波による、緊急事態宣言がまた出され、教職員から不安の声が上がっているという。保護者は歓迎しつつ、不安もこう語る。

「吉村さん、松井さんが言う通り、一生に一度の思い出です。子どもはとても楽しみにしているので、実施してほしい。ただデルタ株の感染はこれまでよりはるかに速いスピードで拡大している。学校からは万全のコロナ対策をするので大丈夫だと聞いている。しかし、目に見えないコロナは防ぎようがない。松井さんは子どもがコロナに感染しても重症化することはないという内容の話をしていた。コロナは感染後に後遺症が残る例も報告されています。それに子どもたちが感染し、大人の家族にもという可能性もある」

 保護者を通じ、ある中学生にも話を聞いた。

「修学旅行のために行先の特産品、お土産、観光名所、歴史などについてたくさん調べました。何のお土産を買おうか、楽しみにしています。ぜひ行きたい。子どもは重症化しないというのは、わかります。しかし、修学旅行には先生など大人もたくさん一緒に行きます。先生たちが感染しないのかという不安もある。それと大阪はコロナ感染が多い地域。そこから、感染が少ないところへの修学旅行に行き、現地の人に迷惑がかかってはいけないという気持ちもあります」

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「大阪は反省がない」と政府