都内の30代女性は、仕事のため18時のキックオフに間に合わなくなった。「メダルが取れるかどうかの瀬戸際のゲームだから、応援も熱を入れてしたかった。選手にとっても突然の時間変更は準備に支障が出るだろうし、気の毒。いったい誰のためのオリンピックなんだろう」

 勝てば53年ぶりの銅メダル獲得。その歴史的瞬間をこの目で見ようと、楽しみにしていた人も多いはずだ。ならば、1968年のメキシコ五輪で銅メダル獲得の立役者となったレジェンド・釜本邦茂さん(77)は、この変更をどう思っているのだろうか。

 直撃したところ、「面食らってますよ。晩ご飯を食べた後、ゆっくり見ようと思っていたのに……」とやはり驚いた様子。

サッカーを長くやってきたけれど、あんまりそういうのは聞いたことがない。横浜と埼玉で、会場が違うのにおかしいよね。今夜は家に帰ってじっくりテレビの前でビールを飲みながらっていう人がたくさんいると思うよ。本来なら、客席がいっぱいになる試合。無観客だけれど、選手としては、テレビでも観てほしいという気持ちはあるだろうし、残念だね」

ピッチ上のコンディションも心配する。

「2時間の差は大きい。18時だとまだ太陽も出ているし、暑い時間。選手たちは急な前倒しで精神的にどうこうなるということはないだろうけど、やっぱり暑さは心配だよね」

 選手も視聴者も置き去りにされた今回の対応。試合を見られなくなった前出の26歳会社員男性は取材の最後、こう無念さを語った。

「一番困惑しているのはアスリートだと思うし、ファンにも配慮されていない。どこに忖度したのかはわからないけど、裏があるのかなと思ってしまう。オリンピックが実際は誰のために行われているのかがよくわかるような判断で、残念」

 無観客の今大会ではテニスをはじめ、急な日程変更が続いた。暑さを考慮しての変更には納得がいくが、なぜ、男子サッカーまで変更になったのか。納得のできる説明をしてほしかった。(取材・文=AERA dot.編集部・飯塚大和)

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