選手はがんばってくれた。英国は12年のロンドン五輪で金メダルが29個だった。開催国は金を30個ぐらい取れるという目標に対し、日本は今回27個。スケートボードなどの新しい種目が出てきたのも良かった。テロがなかったことにもほっとしている。

 パラリンピックは観客を入れていただきたい。テレビではあまり放送されない可能性がある。ロンドン大会を見て感心したのは、パラリンピックが満席だったこと。先進国らしい、成熟した大会だった。1964年の東京大会はアジアで初の五輪だった。日本は先進国として2度目の五輪という課題を抱えている。パラリンピックが多くの人の関心を集めたロンドン大会は参考になる。日本でもワクチン接種が普及し、少なくとも接種をした人を入れるとか、何か工夫をしていただきたい。

(構成/本誌・浅井秀樹)

いのせ・なおき/作家。1946年、長野県生まれ。1987年に『ミカドの肖像』で第18回大宅壮一ノンフィクション賞、『日本国の研究』で96年度文藝春秋読者賞。2007年6月に東京都副知事、12年12月に都知事に就任、13年の東京五輪開催決定に貢献。同年12月に辞任。

週刊朝日  2021年9月3日号