
インフレが止まらない。今後も物価高が続けば、一般家庭で年10万円以上負担が増えるとの試算もある。預貯金頼みだとやりくりがいっそう厳しくなるが、物価高では投資に回す余裕を生み出しにくいのも実情だ。まずは家計をしっかり見直して、資産形成につなげる“基礎体力”を養いたい。
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日本にとってデフレ脱却は長年の悲願だったはずが、物価の下落が止まった先に待ち受けていたのは、想定外の「新たな困難」だった。エネルギー・資源、穀物などの急騰に伴い、世界的にインフレが深刻化している。
当然ながら、エネルギー・資源や原材料の多くを輸入している日本にもその影響は及ぶ。そのうえ、外国為替相場で進んだ急激な円安が輸入品の価格をさらに釣り上げる格好となってしまった。
預貯金が豊富にあるなら一部を投資に回して資産形成を図ればよいが、そうでなければ生活資金から“原資”を確保することになる。賃金や年金が思うように上がらない状況では、出費を抑えて投資に回す“余剰”を生み出すのが基本。物価高でそれも難しくなってはいるが、インフレの現状と家計の構造を分析することで“投資余力”を生み出すことはできる。
普段の買い物や外食でもインフレを実感しているだろうが、ここでは客観的な「数値」で全体像を把握する術を知ろう。
ファイナンシャルプランナーで生活デザイン社長の藤川太さんは「消費者物価指数(CPI)」に関心を払うべきだと説く。総務省が毎月発表する統計調査で、モノやサービスの価格が前年よりどれだけ増減したかを示す。
国内では2021年後半から上昇傾向を示し、今年6月以降はさらに加速している。10月の生鮮食品を除く総合指数(速報)は前年同月より3.6%上昇し、約40年ぶりの上昇率となった。
藤川さんが指摘する。
「CPIの内訳に目を向けてみると、数値の上昇に大きな影響を与えているのが生鮮食品と光熱・水道なのがわかります」