異物混入による健康被害よりも懸念されるのが、「機能性身体症状」だと、森内教授は言う。これは不安感や恐怖感などから、身体に問題がないにもかかわらず頭痛や腹痛といった様々な体の不調を引き起こすものだ。

「ただでさえワクチンに関するデマがたくさんあるなかで、異物混入もあるとなると、間違った情報に拍車をかける可能性がある。現時点ではリスクはとても小さい。冷静に対応していけばそれほど心配なものではないということを理解してほしいです」(森内教授)

 もう一つ話題を集めたのが、ファイザー製のワクチンの効果についての研究結果だ。25日に藤田医科大(愛知県)などの研究チームが発表したデータによると、接種3カ月後の抗体の量は、ピーク時の4分の1程度に減るという。

 大きく抗体の量が減ることに対して不安を感じた人が多かったようだ。しかし、これに対し森内教授は「予想通りの数字」と言う。

 ファイザー製のワクチンは1回目の接種から3週間あけて2回目を接種する。その後、1~2週間程度で抗体のピークを迎えると言われている。そこから抗体は減っていくことになる。今回の研究結果では、3か月後に4分の1程度に減るということだが、「それでも自然感染によってできる抗体量よりも十分に多い」と森内教授は言う。

「時が経つと抗体が減るのは当然です。もし減らないとなると、感染したりワクチン接種したりするたびに血液の中が抗体だらけになり、血液がドロドロになってしまいますから。たとえ抗体が減ってもそれを作り出す記憶を持った細胞が待機していて、ウイルスが入ってきたところで抗体をすぐにつくって対処してくれます。発病を防げないことがあっても、重症化を防ぐことは十分に期待できます」
(AERA dot.編集部・吉崎洋夫)

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