モデルナ製ワクチンで異物混入があったことが8月26日、明らかになり、「ワクチンは大丈夫なのか」という声が上がっている。一方、ファイザー製ワクチンについては、接種3か月後に「抗体の量がピーク時の4分の1に減った」という研究結果が報じられ、ワクチンの効果について不安を抱いた人も多い。日常生活を取り戻すための最も有効な策として期待を集めるワクチン。こうした情報をどう評価すればいいのか、専門家に話を聞いた。
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「異物混入の疑いがあるワクチンを打ってしまった」「今のところ何も症状はないけど、大丈夫かしら」
ツイッター上ではこんな声があがっている。厚労省は26日、モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンの一部から異物の混入が見つかったと公表した。163万回分の接種を見合わせるという。しかし、一部のワクチンは既に接種済みで、冒頭のような不安の声が各地から上がっている。
今回の異物混入について、日本ワクチン学会理事などを務める長崎大の森内浩幸教授は「新型コロナのワクチンの例ではありませんが、ワクチンに異物が混入することはこれまでにもたまにありました」と語る。
森内教授によると、過去に国内外では、プラスチックやゴムの欠片がワクチンの中に混入していた事例があるという。国内でも10年ほど前、乳幼児の感染症を予防する「ヒブワクチン」の中に、ナイロン類似の化学物質とガラス繊維の混合物が混入しているという事例があったという。森内教授はこう見る。
「過去にこうした事例があるため、ワクチンの取扱説明書にも『目で見て確認するように』と書いてある。実際にそうすることで今回も接種前に異物が見つかったということでしょう。注射液は無菌の状態でつくるので、ばい菌の心配もありません。また、今回のコロナワクチンは針がとても細く、異物が簡単に入ることはない。仮に入ったとしてもかなり小さいものなので、人体への影響はほとんどないと推測されます」