■楽しみも緊張も違う
ある程度、基礎をつくって稽古場に行くのは大切だと思いますが、実際に舞台に立たないと感じられないこともあるし、自分でしか気づけないこともある。何より、楽しまなければいけないという思いもあります。
生きてきたグラウンドが異なる方々とご一緒し、さまざまな意見を聞くと「ああ、なるほどな」と思うことも多くて。勉強させてもらえて、吸収していけるところがいいなと思っています。今回も安達さんはじめ、共演者の方々はキャリアの長い方ばかりなので楽しみです。
アイドルとして活動しながら、舞台やドラマにも出演するのは、「異なるスポーツをしているような感覚」と言う。
短距離走もすれば、バスケもするような感じです。それぞれに楽しさがあり、楽しみ方も緊張感も違う。だから、どこの現場に行ってもいい緊張感を持って向き合える。
舞台は、見ている人によって主役が違うから、逃げ場がないんですよね。映像は、映った瞬間にいかに瞬発力を発揮するか、という面もあるけれど、舞台はマラソンのような側面もある。どこも気を抜くことができない。だからこそ、すごく演技の基礎が鍛えられる気がしています。
(構成/ライター・古谷ゆう子)
※AERA 2021年9月13日号