「1000人来ると思って食材を用意していたのに、100人しか来なければ、とんでもない食品ロスになります。メニューを減らせば不満が出るので、選択肢をそろえつつ極力ロスを減らすよう努力しますが、これがとても難しい。同じ会社でも月曜と金曜では食数も変わりますし、メニューや天候にも左右される。大きく読み間違えると100食単位でずれることもあります。ロスが増えれば、売り上げにならないのに食材費だけはかかるという悪循環に陥ってしまう。コロナ以降、食品ロスの管理は特にシビアになっています」(40代男性)

 こうした厳しい状況が続いていても、明るい兆しがないわけではない。コロナ禍においても業績の良い企業などでは新規で社食を作る動きもみられるという。コロナ禍で、かえって社食の価値を再認識した企業もあるようだ。

「社食はこれまで学生の採用でも一役買っていました。福利厚生にこだわる学生の中には、会社を選ぶ際に社食が充実している方を選ぶという人もいるくらいです。社員食堂はただ食事をするだけのスペースではなく、社員同士のコミュニケーションを円滑にして、仕事へのモチベーションや会社への愛着を育む場所であり、午後からの仕事のパフォーマンスを発揮しやすくするためのリラクゼーションの場所でもあった。コロナは、社食のそうした価値を企業に改めて気づかせる契機にもなったはずです」(前出の藤井氏)

 今や、社食も企業文化の一つとなりつつある。社食が完全復活する日を待ち望んでいる従業員は、決して少なくないはずだ。(AERA dot.編集部・飯塚大和)

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