吉村大阪府知事(C)朝日新聞社
吉村大阪府知事(C)朝日新聞社
 新型コロナウイルス感染拡大で大阪府は9月末から大阪市住之江区の「インテックス大阪」に軽症・無症状の自宅療養者及び中等症患者向けの大規模医療・療養施設を臨時的に設置する。

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 大阪府の吉村洋文知事は11日、東京五輪やパラリンピックの選手村で使用された「段ボールベッド」を再利用する方針とぶち上げた。

 段ボールベッドの提供は寝具メーカーのエアウィーヴ社から申出があったという。施設はインテックス大阪6号館において軽症・無症状者800人、中等症患者200人と計1000床の規模となる。

災害級の感染爆発が起こったことを想定して設置する」

 吉村氏が記者会見でこう強調した鳴り物入りの施設だ。当初、段ボールベッドとマットレスは<最終的に千床を設ける予定で、うち軽症・無症状患者用の八百床でこのベッドを使用する見通し>(共同通信の11日付配信の記事)などと、その大半をエアウィーヴ社の提供分でまかなうと報じられた。

 だが、東京五輪、パラリンピックの選手村で使用した段ボールベッド、マットレスの再利用については、厚生労働省など政府から疑念の声が相次いだという。

「コロナ患者用ベッドとしては段ボールベットは非常に不適格です。理由はベッドが上下に移動できない。つまりリクライニング機能がありません。また、キャスターがついていないので、ベッドの移動にも労力が必要です。そして、段ボールベッドは土台のフレーム、マットレスの消毒、抗菌が十分にできているのか、不明です。段ボールベッドはコロナ患者に使った後は再利用不可となり、医療廃棄物となって焼却処分となるのでコスト増になりかねない」(政府関係者)

 こうした指摘を受け、吉村氏は13日の記者会見で報道を修正した。

「誤解があるかもしれない。エアウィーヴ社から段ボールベッドの提案は受けていない。(提供は)あるようだが数十ぐらい。提案の中心はマットレスです。中等症には上下移動ができる医療用ベッドを使用する。そこにエアウィーヴは使えない」

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大阪府幹部の苦悩