新しい社会を自分がつくる、という気持ちで取り組もう(イメージ/GettyImages)
新しい社会を自分がつくる、という気持ちで取り組もう(イメージ/GettyImages)

 コロナ禍は大学生の就職活動にどう影響を与えているのか。長年にわたり新卒の就職活動を研究してきた、千葉商科大学国際教養学部准教授で評論家の常見陽平さんに聞いた。高校生、受験生の大学選びついてさまざまな角度から取材した、AERA MOOK『就職力で選ぶ大学2022』(朝日新聞出版)から抜粋して紹介する。

◆影響は限定的だがプロセスに変化あり

 厚生労働省と文部科学省の調査によると、2021年卒の4月1日時点就職(内定)率は96.0%と、前年同時期に比べて2.0ポイント低下した。この数字は、1997年の調査開始以来、リーマン・ショック後の2010年卒に次ぐ過去2番目の下落幅だ。20年春から千葉商科大学国際教養学部キャリア委員長として学生への就職支援をしている常見さんはこう話す。

「リーマン・ショック後の10年卒は3.9ポイント減ですから、その時ほどの落ち込みではありません。メディアは就職氷河期再来とあおりたいようですが、冷静にデータを分析すれば、最終的な就職内定率は減っておらず、コロナの影響は限定的といえます。ただし、コロナ禍で大きなダメージを受けているサービス業や観光関連業、航空業界など一部の運輸業、飲食業などは、採用を大幅に減らしたり、中止したりしました。また、学生はコロナ禍で孤立した就活をせざるを得ず、精神的なダメージも大きかったと思います」(常見さん、以下同)

2022年卒の就職内定率は、7月時点で鈍化していない
2022年卒の就職内定率は、7月時点で鈍化していない


 月ごとの就職内定率(グラフ)からは、就職活動、採用活動のプロセスに影響が出たことが読み取れるという。

「21年卒は、20年5月から内定率の伸びが鈍化し、その後は対前年比マイナスで推移し、3月の卒業時点でようやく0.7ポイント上回っています。20年春から夏にかけては緊急事態宣言などで就職活動も止まってしまい、秋から21年3月にかけて上がっていったことがわかります。一方、22年卒の就職内定率は、7月時点までのデータでは鈍化することなく推移しています」

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日本企業の存在感が薄まるなかで、すべきこととは