北原みのり
眞子内親王の複雑性PTSDが大きく報じられている。知られているようにPTSDが社会に認知されたのはベトナム戦争がはじまりだ。残酷な戦地に従軍し、生き延びられた若者の多くが、その後の人生を継続するのが困難になるほどの深い精神の傷を負った。心身に深く刻まれた痛みを癒やすことは難しく、自死に追い込まれる人も少なくなかった。
「税金で生きてきたんだから、説明責任を果たせ」と言いたがる人の多さに驚いている。その口調をどうか、安倍さんや、麻生さんや、甘利さんなど、カネの不正が疑われている人に向けてほしい。言いやすい人に言いたい放題の国、その言いやすさはたいてい、女に向けられてきた。たとえプリンセスであっても、この国は女である限り、危険だ。私たちはみんな、負傷している。兵士のように危険地帯に送り込まれ、傷つき、痛みの声をあげてもさらにたたかれる。プリンセスも茨城の女の子も、等しく危険であることがこの国の「平等」であり、「危機」なのだと思う。
■北原みのり（きたはら・みのり）／1970年生まれ。女性のためのセクシュアルグッズショップ「ラブピースクラブ」、シスターフッド出版社「アジュマブックス」の代表
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