名古屋大も目立っている。出身者や教員経験者など同大学に関係するノーベル賞学者は野依良治、小林誠、益川敏英、下村脩、赤崎勇、天野浩の6氏である。
名古屋大総長の松尾清一氏は、同大について次のように語っていた。
「古いしきたりやしがらみにとらわれず、教員同士、教員と学生の関係もとてもフラットである。ベテラン教員のもと、若い人たちが自由にのびのびと研究に打ち込み、議論する文化が生まれ、今日まで脈々と受け継がれている」(『大学ランキング 2016』)
学部卒業は、すべて国立大学である。大学院出身となると公立の大阪市立大、私立の東京理科大がようやく顔を出す。
ノーベル賞学者が専任教員として所属した大学には、北里大、東海大、京都産業大、岡山理科大、倉敷芸術科学大などが並ぶ。なかでも名城大では3人が教壇に立っている。赤崎勇、天野浩、吉野彰の3氏だ。
学長経験者は朝永振一郎氏の東京教育大(現・筑波大)。江崎玲於奈氏の筑波大、芝浦工業大、横浜薬科大。
■ノーベル賞学者の出身高校(旧制中学は継承する高校、卒業した高校を集計。◎は私立、◯は国立、無印は公立)
<北海道、東北> 苫小牧東(北海道)
<関東> 川越(埼玉)、日比谷(東京)、湘南、横須賀(以上、神奈川)
<北陸、甲信越> 富山中部(富山)、藤島(福井)、韮崎(山梨)
<東海> 飛騨高山(岐阜)、浜松西(静岡)、明和、名古屋市立向陽(以上、愛知)
<関西> 洛北2人、◎同志社(以上、京都)、◯大阪教育大学附属高天王寺校舎、今宮、北野(以上、大阪)、◎灘(兵庫)
<中国、四国> 宇部(山口)、大洲、三島(愛媛)
<九州> 福岡(福岡)、諫早(長崎)、甲南(鹿児島)
京都府立洛北高校(府立京都第一中学校)が2人。湯川秀樹氏、朝永振一郎氏である。ほかはすべて1人だ。歴代のノーベル賞学者らが高校(旧制中学を含む)に通っていたのは、1910年代から80年代。長きにわたって公立高校が圧倒的に強かった。令和の時代を迎えたいま、そろそろ開成、麻布、武蔵といった私立高校からノーベル賞受賞者が出てきてもおかしくないだろう。