当時の絶好調の経済社会であっても「維新」が無ければ将来の行方に重大な課題があったということであれば、現在の生温い経済成長がずっと続いている時代では尚更、「維新」が不可欠でありましょう。

6月中旬に岸田総理が立ち上げた新たな資本主義を創る議員連盟」に出席した安倍元首相や麻生副総裁、甘利幹事長ら(C)朝日新聞社
6月中旬に岸田総理が立ち上げた新たな資本主義を創る議員連盟」に出席した安倍元首相や麻生副総裁、甘利幹事長ら(C)朝日新聞社

「新しい日本型資本主義」には「令和時代の覚悟」が必要です。経済の成長を社会に分配する仕組みだけでは好循環とはいえず、社会への的確な分配が経済への持続可能な成長へとつながる側面も無ければなりません。未来世代からの借金による財政増大だけでは、持続可能な成長と分配が好循環するエコシステムはつくれません。

 成長が分配へ、そして、分配が成長へと循環する様々なストックを日本の経済社会につくること。渋沢栄一が日本社会でつくったおよそ500の会社と600の社会的事業は、まさに新しい時代を切り拓いていくための好循環を生むストックでした。 

「前例がない」、「組織に通らない」、「誰が責任を取るんだ」という言葉が奮発している社会では、このようなストックづくりは不可能でありましょう。「新しい日本型資本主義」を実現させる「令和維新」では、まず、この三つの言葉を口にすることを禁止することから始まります。

(渋沢健)

 しぶさわ・けん シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役、コモンズ投信株式会社取締役会長。経済同友会幹事、UNDP SDG Impact 企画運営委員会委員、東京大学総長室アドバイザー、成蹊大学客員教授、等。渋沢栄一の玄孫。幼少期から大学卒業まで米国育ち、40歳に独立したときに栄一の思想と出会う。近著は「SDGs投資」(朝日新聞出版)

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渋沢健 シブサワ・アンド・カンパニー株式会社代表取締役、コモンズ投信株式会社取締役会長。経済同友会幹事、UNDP SDG Impact 企画運営委員会委員、等。渋沢栄一の玄孫。幼少期から大学卒業まで米国育ち、40歳に独立したときに栄一の思想と出会う。

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