屋代陽平(右)、山本秀哉(撮影/写真映像部・東川哲也)
屋代陽平(右)、山本秀哉(撮影/写真映像部・東川哲也)

「僕たちは、恵まれている」と語る。謙虚で客観的な目線がある。あくまでも自然体だ。かといって、冷めているわけでもない。仕事に対する熱量は人一倍高いし、努力も惜しまない。生き生き、伸び伸びと仕事をしている。プロとしての自負もある。仕事をしながら遊び、遊びながら仕事をするというのはこういうことか。

 YOASOBIは、どこまでいくのだろうか。この先、何を目指すのだろうか。

 海外のファンも増えている。まずは、台湾や韓国などのアジア市場に力を入れていく方針だ。「世界に羽ばたくのは、それからでいい」という。屋代の次の言葉は、印象的だ。

「頂点を目指しているわけではない。YOASOBIは、スペイン・バルセロナのガウディのサグラダ・ファミリア教会のように、常につくり続けていくものだと考えています」

人と違うことをやる

 22年8月、ソニーミュージック所属の歌手である郷ひろみのレコードデビュー50周年の記念式典が、抽選で選ばれた50人のファンを集め、東京都港区のソニーグループ本社で開かれた。日ごろ、記者会見などを開く会場だ。CEOの吉田、専務の神戸司郎らが出迎え、郷の名前を刻んだデジタルカメラなど最新のソニー製品を贈って、感謝の意を伝えた。

 郷は記者の質問に答えて、ソニーと長続きした理由をこう語った。

「人と違うことをする発想がソニーグループの皆さんに根付いている」

 人のやらないことをやる。それは、ソニーの本質だ。YOASOBIをプロデュースした屋代と山本もまた、「人と違うことをやる人」であるのは間違いない。

(文中敬称略)(ジャーナリスト・片山修)

AERA 2022年11月21日号より抜粋

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