鳩山首相はそのことを聞くと、強い抗議もせずに辞任してしまった、ということのようだ。
沖縄県民たちは、こうした事実をよく知っているのである。
2018年、首相に3選された安倍晋三氏は憲法を改正したいと強く打ち出したが、私が取材した限りでは、自民党幹部たちにその覚悟がある者は少なかった。ならばと私は「憲法改正の前に、何としても日米地位協定を改定すべきだ」と提案した。安倍首相は「やります」と力強く答えた。
ところが、その後、外務省の幹部が私に、米国の国防総省の反対で改定は無理だ、と言ってきた。
「では、なぜイタリアやドイツは改定できたのか」と問うと、NATOに加盟しているからだ、と答えた。
そこで、どうすべきか、と安倍首相と練っている間に、安倍首相は辞任してしまった。その後の菅義偉首相にも同様の提案をしたのだが、新型コロナ問題が一段落したら取り組むと答えて、そのまま辞任した。
さて、岸田文雄首相がどう取り組むのか。何としても取り組んでもらいたい。
田原総一朗(たはら・そういちろう)/1934年生まれ。ジャーナリスト。東京12チャンネルを経て77年にフリーに。司会を務める「朝まで生テレビ!」は放送30年を超えた。『トランプ大統領で「戦後」は終わる』(角川新書)など著書多数
※週刊朝日 2022年11月25日号