直前の3日には市内にヒラリー・クリントン元国務長官とカマラ・ハリス副大統領までが集会応援に駆けつけた。大統領選挙ではない中間選挙で、こんな大物が出動する異例のテコ入れぶりだった。ホークル氏は「私は勝ちます。勝つのです。全てのニューヨーカーを導きます」と強調したが、筆者の目から見て盛り上がりに欠ける異様な選挙集会だった。
それでも、ホークル氏は52.8%の得票で共和党候補に勝利。8日夜中近くに勝利集会にこぎつけ、人種のるつぼでリベラル色が強い同州有権者が初めて選んだ女性リーダーとなった。
同じ夜中ごろ、民主党の健闘ぶりを示す結果が出始めた。
■トランプ推薦候補破る
米メディア注目の激戦州ペンシルベニア州の上院選で、民主党候補で同州副知事ジョン・フェターマン氏が、テレビ番組司会者のメフメト・オズ氏を破った。オズ氏はトランプ推薦候補で最も知名度があったセレブだ。
ミシガン州の現職知事グレッチェン・ウィットマー氏も、トランプ推薦候補に大差をつけて勝利した。他にも、事前予想に反して苦戦している「トランプ・チルドレン」が目立った。
一夜明けた9日の早朝、トランプ氏の「御用テレビ」とされる保守派のフォックス・ニュースがオンラインでこう報じた。
「多くの保守派コメンテーターが選挙結果を見て『トランプから離れる時が来た』としている」
同じく保守派タブロイド紙、ニューヨーク・ポストは、
「不満タラタラなトランプを捨てて、デサンティス(フロリダ州知事)と戦っていく時期がきた」
とする記事を載せた。デサンティス氏は2024年大統領選挙に立候補するとされ、予想外の大差で州知事選再選を果たしたからだ。
どうしてトランプ氏は「大きな赤い波」(共和党が席巻する状況)を起こせなかったのか。トランプ氏は投開票日直前、15日にも「重要な発表をする」と明かし、24年大統領選挙に立候補することをほのめかしていた。支持者は歓迎したものの、逆に中間選挙への熱が薄れて足が遠のいたとする説が出ている。