「ポケベルが鳴らなくて」でヒロインを演じた裕木奈江(C)朝日新聞社
「ポケベルが鳴らなくて」でヒロインを演じた裕木奈江(C)朝日新聞社

 そんな秋元氏は、前述の3作品以外にも2019年4月期に放送された「あなたの番です」(日テレ系)をはじめ、昨年10月期放送の「共演NG」(テレ東系)、今年7月期放送の「漂着者」(テレ朝系)など近年、注目ドラマを数多く手掛けているが“秋元ドラマ”の魅力はどこにあるのか。

「秋元さんは時代や流行といったものを敏感に察知し、積極的に作品に取り入れている印象です。それに加えて『共演NG』など、実際の芸能界ではタブー視されている題材にも切り込むことで、目新しさや斬新さを際立たせています」

 前出の竹下氏はこう分析した上でこう続ける。

「秋元さんの作詞活動を見ても、日本を代表する歌手である美空ひばりさんの代表曲『川の流れのように』をはじめ、稲垣潤一さんの『ドラマティック・レイン』、長渕剛さんの『GOOD-BYE青春』など歌謡曲、ニューミュージックの名曲を数多く残しています。その一方で、小泉今日子さんの『なんてったってアイドル』などのアイドルソング、『とんねるず』の『ガラガラヘビがやってくる』といったコミックソング、アニメ『ハイスクール! 奇面組』や『機動戦士ガンダムZZ』の主題歌なども手掛けています。その背景にはジャンルや建前、業界の常識に捉われない自由な発想や純粋な面白さの追求があり、こうしたスタンスは作詞だけでなく、ドラマ作りにも反映されているのでしょう」

 娯楽の多様化でテレビ離れ、ドラマ離れが叫ばれている昨今だが、秋元ドラマには時代を超えた“普遍性”があるのかもしれない。(立花茂)

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立花茂

立花茂

東京都出身。大学を卒業後、スポーツ紙の芸能記者として活躍。その後、週刊誌や月刊誌、ニュースサイトなどでも記事を執筆。得意ジャンルは芸能だが、取材対象はアニメ、競馬、プロレスなど多岐に及ぶ。最近はweb3.0にも興味あり。

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