
どれだけの期待が、24歳の若きスターに注がれているのか。初の本格舞台で、11月6日に開幕する音楽劇「歌妖曲~中川大志之丞変化~」は、自身の名を冠し、昭和の歌謡界で繰り広げられる愛憎をえぐりだす濃密な物語。演じるのは、醜い容姿と不遇な宿命を呪う主人公・鳴尾定(なるおさだむ)と、彼が一族への復讐を胸に変身した美貌の歌手・桜木輝彦だ。11歳で子役としてデビューしてから、どんな大役にも怯(ひる)まず、重圧をはね返してきた中川。その強さの源とは。
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──本格的な舞台作品への出演は初めてですね。
未知への挑戦にはなりますが、そこにのまれないことをテーマにしています。わからないことも多いし、映像の現場とは勝手がちがいますが、芝居をすることに変わりはないと思うので。もちろん舞台だからこその表現はたくさん見つけたいなと思っています。ただあまり怯(おび)えず構えすぎず臨んだほうがいいのではないかなって。
がむしゃらにやってみた先にどういう景色が見えるのか、楽しみにしています。学生のころ、先生が言っていた、「自分がもうだめだと思ったその瞬間が本当の始まりなんだよ」という言葉をよく思い出します。そのときは眠そうに聞いてたんですけど(笑)、この仕事をしていくなかで、自分が思う限界ってたかが知れているなってすごく思います。
乗り越えた先に、こんな力あったんだ!ってびっくりするんですよね。そう考えたら自分に期待できる。リミッターをつけているうちはそのゾーンには行けないので、飛びこむしかないなと。
──普段から、役になりきるために心がけていることは?
自分ではない誰かを演じるので、自分の経験とか記憶から、僕自身と役が重なる部分、感情が動くスイッチみたいなところを発見していけたらいいなと考えています。見てもらう人には、作られた世界、想像上の世界を信じてもらわないといけない。やっぱり自分が信じられていないものはお客さんも信じられないと思うので。