ビートたけし(左)と明石家さんま(C)朝日新聞社
ビートたけし(左)と明石家さんま(C)朝日新聞社

「全員集合」の裏番組としてスタートするが、「土八(どはち)戦争」と呼ばれるほどの両番組が視聴率戦争に火花を散らすようになる。 

レギュラー化と同時に、山村さんは「ひょうきん族」の初代ひょうきんアナウンサーに起用された。 

 「ひょうきん族」のプロデューサーは横澤彪さん。出演者はビートたけし、明石家さんま、島田紳助、片岡鶴太郎、西川のりお、山田邦子の面々だった。 

「ひょうきん族」はコント、ニュース、歌など多彩なジャンルを取り入れたバラエティを目指していた。歌の「ひょうきんベストテン」コーナの司会に島田紳助と山村さんが起用された。 

 台本はあったんですか?と尋ねた。 

「台本はもうほとんどないですよね。構成があるくらい。私のコーナーはほとんどアドリブでした」 

 「全員集合」の笑いは、計画されたオチに向かっていく予定調和的なものだったが、それに対し、「ひょうきん族」はハプニングやアドリブ重視で対抗していった。 

 当時の山村さんは健康的でおてんばな感じ。芸人たちから突っ込まれ、それを跳ね返し、かわして司会進行していった。芸人たちもアドリブだから、スカートをめくられたり、キスをされたり、セクハラ的なこともあった。 

「けっこう『スカートめくり』もされましたよ。だけど、後で謝られました。『さっきは悪かったな、大丈夫やった?』とか。セクハラ的なことはあるのだけれども、のちのちまで残っていった人たちは、必ず番組が終わった後で、気づかいがありました。彼らも仕事でやっている感じだと思います。そんなのは別に本当にめくりたくて、めくっているわけではないので。いかに番組を盛り上げようかってことなので、そういう意味ではプロですよね」 

 西川のりおらから「スカートめくり」されていた。山村さんの担当した「ひょうきんベストテン」のコーナーは島田紳助さんとの掛け合いが見どころだった。 

 「紳助さんは『ちゅーして』『ちゅーしていい?』って、隣でいつもいつも言っていたけれども、それは何というか愛情表現というか、別にセクハラしようと思っているわけではないので。必死にアナウンサーとして司会をする姿に、視聴者が共感してくれたんだと思います」 

 演者がどんなにふざけても、追いかけ回されても、アナウンサーである山村さんはしっかり笑顔でめげない女子アナとしての存在感を確立していった。 

暮らしとモノ班 for promotion
2024年の『このミス』大賞作品は?あの映像化人気シリーズも受賞作品って知ってた?
次のページ
ひょうきん族が視聴率を逆転した理由