女子アナブームの先駆けだった元フジテレビアナウンサーの山村美智さん(64)。バラエティ番組「オレたちひょうきん族」でMCとして抜擢されるや、持ち前の明るいキャラクターでたちまち人気を博した。1980年代前半のスタジオでは、芸人たちからの「スカートめくり」や「キスさせて」などの行為を続々受けるが、さらりとかわし、女子アナの地位を確立していった。同じ土曜日夜8時枠のTBS番組「8時だョ! 全員集合」との土八(どはち)戦争の舞台裏など思い出を山村さんが語った。
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待ち合わせの場所へ行くと、記者の前に現れた山村さんは、キュートで奇抜なファッションだった。ふわふわの透け感のある秋色ブラウスに、刺繍をほどこした派手なジーンズ姿だった。
30年前の「ひょうきん族」時代もハデな衣装で登場していたので、記者はうれしくなった。ちょうど秋晴れで陽差しの強い日。早足で歩いたため、記者の額は汗がびょっしょりだった。
山村さんはそれを見ながら、「どうぞ、汗を拭いてください。大丈夫です、大丈夫です」と気づかってくれ、ティッシュを出してくれた。
山村さんがフジテレビに入社したのは1980年。
「当時は旧本社でしたので、お台場(東京都港区)ではなく、河田町(新宿区)にありました。アナウンサーは報道局の所属でした。ところが、何にも仕事がなかった」
1年経つと報道局から編成局に異動になり、忙しくなった。
「ちょうど、フジテレビでは、明治維新のような大変革が行われたんですね。『楽しくなければテレビじゃない』をキャッチフレーズに新しい笑いに次々に挑戦していった。『ひょうきん族』はそのフジテレビの大改革を象徴するように作られた番組でした」
のちに伝説の番組となった「オレたちひょうきん族」の第1回放送は1981年5月16日。当初は不定期の"特番"という形で、8月までに計8回放送された。
レギュラーの座を勝ち取ったのは81年10月10日放送から。"土曜午後8時"の枠で、 同じ時間帯には、ドリフターズが出演するTBSの「8時だョ! 全員集合」があり、平均視聴率30%前後を誇る断トツの強さだった。
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