小室さんは、フォーダム大のLLMからJD(Juris Doctor:法務博士)コースに進み、7月にニューヨーク州の司法試験を受験。フォーダム大で3年間学んできた。
ニューヨーク州司法試験委員会によると、小室さんが受けた7月の受験者数は9227人で、合格者は63%に当たる5791人だった。外国人は3129人受験し、31%に当たる963人が合格。初めて受けた受験生の合格率は78%だが、それも外国人に限ると46%まで落ちる。
山中氏は「楽に受かっているのはアメリカ人が多く、外国人に絞るとそれほど合格率が高いわけではない。外国人は半分以上が落ちている」とし、外国人が不合格になる敗因をこう分析する。
「一般的に外国人で落ちる人は2パターン。1つは英語力不足で、知識はあっても、問題を読むスピードやエッセーを書くのが遅い人。文章の量でいうと、外国人はアメリカ人の半分も書けないのが通常で、試験は時間との闘いです。もう1つはアメリカの法律の基礎を理解できていない人。前者であれば、過去問を繰り返し解いて対策を講じることができますが、後者の場合であれば数カ月で挽回するのは困難。また、このどちらもが原因である場合もあります」
多くの受験生は、ロースクールを5月に修了し、7月の受験に勝負をかける。そのため、2021年2月の受験者数は2130人と少なく、合格率は全体で49%、外国人だと43%。合格率は7月よりも2月の方が低い傾向にあるという。
山中弁護士のクラスメイトには、小室さんのように1回目に落ち、就職先でLaw Clerk(法律に関する事務職)をしながら司法試験に挑んでいた台湾人がいたという。
「彼はアメリカの法律事務所に就職したものの、仕事が忙しくて勉強する時間が確保できず、2回目の2月にも落ちてしまいました。試験直前に2週間のまとまった休みをとって、その間に猛勉強して挑んだと言っていました。2回目の試験まではいまから3カ月くらいしか準備期間がなく、あっという間です。彼は3回目で合格し、同じ事務所で、晴れて弁護士に昇格しました」
小室さんの場合も、就職先の大手法律事務所がLaw Clerkとして雇い続ける場合、勉強時間を確保するのは至難の業だという。