
「野党共闘」「政権交代」などの言葉が躍り、大きな変化が期待された10月31日の衆院選。一時帰国中だった在米18年の記者は、久しぶりに目の当たりにしたニッポンの選挙が「昭和風」のままだったことに驚いたという。
記者は米国から一時帰国し、自主隔離のために横浜市の弟一家のマンションに14日間、滞在している。
10月31日、投開票日の朝、弟夫婦とともに小学校体育館の投票所に向かい、正門前で「えっ」と足が止まった。有権者は事前に届く「投票所入場券」で投票所の場所を知っているはずだが、それにしても「投票所はこちら」といった案内の張り紙などが一切ない。小学校の正門を通り、数十メートル先まで行くと、校舎の外壁に「投票所」という紙がグリーンのテープで無造作に貼ってあった。
甥がかつて通った小学校であるため、記者もその場所は知っていたが、正門の前で「本当に投票所はここなのか」と少し不安になった。小学校とは縁がなく正門の中に入ったことがない人や、初めて投票をする人には、あまりにも不親切だ。
一方、米国では、「Vote Here(ここで投票しよう)」という張り紙が、投票所の付近や歩道の上などに貼られる。入り口には、一段と大きな張り紙がベタベタと貼られ、中国語やスペイン語での記載もある。文字も大きく一目瞭然で、米大統領選ともなれば長蛇の列ができている。
投票が終わると、「Voted(投票したよ)」というステッカーがもらえて、特に若い有権者は1日中、それを胸に張って歩いている。白地に赤と青の文字のデザイン、つまり星条旗の色で、国を愛することを示す色だ。この3色は、無意識ではあっても、一票を投じ、国のために何かを果たしたという気持ちにさせてくれる。このステッカーを付けている人には、ただでドーナツやビールが振る舞われたりもする。
日本では、投票所入場券がなくても投票はできるのだから、投票所の場所が視覚的に分かりやすければ、「ついでに投票しよう」という人を呼び込むことができるだろう。これまで、投票率を上げようという努力がなされてきたのか、大いに疑問に感じた。