今回の対談が掲載されている「AERA2021年11月8日号」は大好評発売中!
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井口 そうなんですか。

岡野 うん。ここで過ごした2年間は、新生活の楽しさと、うまくいかない音楽活動とのコントラストが激しかった。

井口 でも、大阪で活動していた時代からすでに一目置かれる存在だったんですよね?

岡野 いや、そうでもなかったらしい。ライブをやれば500人ぐらいの動員はあったから、レコード会社も鼻息荒くして俺らと契約したんだろうと、当時何も知らない自分たちは思っていたけど、後から聞いたら「特に期待してなかった」って(笑)。

井口 勘違いだった(笑)。僕が物心ついた頃にはポルノグラフィティはすでにトップアーティストだったので、ちょっと想像できないです。

岡野 「早くデビュー曲を作ろう」って言われても、レコード会社が納得するような曲が全然できなくてね。

井口 へえ~。

岡野 「曲ができないならライブをしよう」ってことで、ツアーをやらされたこともあったんだけど、まだ東京で何もしてないのにお客さんなんて集まるわけないじゃん。しかも、北関東ツアーだよ?

井口 ははは! いきなり北関東はキツイっすね~。

岡野 で、群馬に行ったら案の定、お客さんゼロ。色々と試行錯誤していたなあ……。

井口 そこからどうやって状況を変えていったんですか?

岡野 当時のしんどい状況も「売れたらなんでもできる」ってことを合言葉にいろんなアプローチを試したかな。ネガティブに聞こえるかもしれないけど、売れることは自分たちが目指す到達点に行くために必要なことだから、そこにブレはなかった。

井口 うまくいかない時期を経たからこそ、「売れる」に向かって突き進めたんですね。

岡野 うん。ただ、他のメンバーには申し訳ないけど、俺個人としてはあっけらかんとやってた気がする(笑)。

井口 わかります。ボーカリストって、なんかそういうとこありますよね(笑)。

○おかの・あきひと/1974年、広島県因島市(現・尾道市)生まれ。ポルノグラフィティのボーカルを担当。99年に「アポロ」でメジャーデビュー。今年9月にはニューシングル「テーマソング」をリリースし、全国20カ所28公演となる「17thライヴサーキット“続・ポルノグラフィティ”」を開催中

○いぐち・さとる/1993年、長野県伊那市生まれ。2017年、4人組バンドKing Gnuを結成、ボーカルとキーボードを担当。19年、アルバム「Sympa」でメジャーデビュー。音楽活動のみならず、俳優としてドラマや映画にも出演している

(構成/編集部・藤井直樹)

※11月8日発売の「AERA11月15日号」では、対談の続きを掲載しています。

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