妻 花輪明香[41]日本の地のもの酒処「恵比寿 吉乃坐」女将
はなわ・あすか◆1980年、山形県出身。東京の美容専門学校卒業後、ヘアメイクの助手を経てヘアサロンに勤務。美容師、マネジャーとして活躍後、現職。出身地の山形県西川町の食材やお酒の仕入れを通じて、町おこしに携わる
夫は世の常識や人のうわさが耳に入らないタイプでブレがなく、常に気持ちが一定です。おかげで、そばにいるとこちらも落ち着けて、出会った当初から恋人以上の「家族感」を感じられました。
付き合っていた10年の間に2度別れましたが、夫は、どうせまた付き合うことになると100パーセント確信していたそう。それを知ったとき、うぬぼれが過ぎる!とあきれましたが、私もこの人とはずっと一緒にいる気がする、と思っていたのは事実です。
コロナ禍で休業を強いられるたび、テンパる私をよそに、夫はやはり平常でした。二人してテンパってたらいいものはできない、と言われてるようで頼もしく映りました。そして時短営業再開と同時に客足が戻って満席に。席数は半分にしていますが、半分だとお客様はよりくつろげて、夫も常連さんとの会話を楽しめるようでいい感じなんです。
コロナ禍で気づけた皮肉な発見ですが、いつかカウンターだけのようなお店を出すのもいいかなと思っています。
(構成・茅島奈緒深)
※AERA 2021年11月15日号