亡くなった細木数子さん
亡くなった細木数子さん

「六星占術」の著書の販売部数でギネス記録もある細木数子さんが亡くなった。享年83歳だった。とにかく豪快だった細木数子伝説は数多あるが、その一つをご紹介したい。週刊朝日の記者がまず、会ってみようと2004年11月に伺ったら、のっけから思いっきり叱られて……。

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「あたしは3年もすれば70歳になるんですよ。あんた29歳でしょ。そんな坊やがね、あたしのことを書けるわけないよ、悪いけど。無理よ」
 一喝された。テレビで見たままの、あの調子で。東京・神楽坂の個人事務所で10月中旬、イスに座らされてわずか5分。初対面の細木数子さんに「年はいくつ?」と逆質問され、ぶったぎられた。ものすごい迫力だった。

 この日の取材は、唐突に始まった。9月中旬に取材を申し込んでから「スケジュールがいっぱい」と先延ばしになっていたところ、突然、細木さん本人から電話がかかり、こうお呼びがかかったのだ。

 「今夜、会いましょうか。ジャブ取材ってことで」

 若輩なのは確かだが、「ジャブ」にしては厳しい仕打ちだ。タジタジになっているところへ、さらに畳みかけられた。

「(歴史家の)トインビーは勉強した? してないの? じゃあ『逍遥遊』(<自由気ままな境地を遊ぶ>の意)って意味は分かる? おい、そんなことも知らないのか」

「『運命』って何か分かる? 分かんないの? 『運命』も分からないんじゃ、取材にならないじゃん。あなたに個人教育している時間ないよ。ケンカにもなんないよ」

 折しも複数の週刊誌が「過去に墓石販売のトラブルがあった」「ホストクラブに通って何百万円もつぎ込んだ」「予言が当たらない」などと報じていた。時の人だから何でも聞きたいと思っていたが、そんな本音も見透かされていたようだ。

◆墓石販売トラブルを直撃

「妖怪だの、ヘチマだの、書きゃ週刊誌が売れるっていう商魂が見え見えよ。出る杭は何でも打ってさ。あんたも、売らんかな、あたしを斜め見しようとしてる。分かるよ。きれいごと言ったって、あんただってビジネスじゃん」

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