旧統一教会との関係を指摘されるイベントに、学生ばかりか大学教授が参加したケースもある。イベントに対する教員たちの本音とは。2022年11月14日号の記事を紹介する。
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「今は環境問題などをうたうので、私が勧誘していたとき以上に実態がわかりづらい」
と、CARP(カープ=全国大学連合原理研究会)に所属していた元信者の30代女性は話す。実際に、学生だけでなく大学教員も旧統一教会との関連が指摘されているイベントに出席する事例が相次いでいる。
今春、ある教授のもとに一通のメールが届いた。
<教授と学生によるSDGs共同推進イベントについて先生に相談したいことがあり、ご連絡させていただきました>
差出人は、授業を受けている学生の一人。イベントがいくつかの大学で開催されることや、学生たちのディスカッションがあることなどが書かれていた。
同様のメールは、全国の複数の大学教員に届いている。どれもSDGsを切り口に講演や参加を呼びかける内容で、なかには大学幹部にあたる教授への登壇依頼もあった。
「このイベントは、旧統一教会信者の正体を隠した活動だと判断しています」
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の渡辺博弁護士は指摘する。
「World CARP JAPAN」に関係について尋ねると、「関連団体/友好団体という事実はございません」と答えた。イベントのホームページは「特定の宗教団体の宣伝を行うものではない」との記載にとどまっており、主催者に詳細を問い合わせても回答はなかった。
メールを受け取った大学の関係者はこう証言する。
「過去に同じ学生からカープが主催するイベントでの講演依頼を受け取った教員がいたので、もしかしてと思ったんです」
学生の依頼であれば、力になりたいのが教員の性。だが、団体のホームページにも違和感を抱き、参加は見送った。
本誌が確認しただけでも、東京、東北、早稲田、新潟など9大学26人の教授がイベントへの参加意思を表明。各大学に参加経緯や旧統一教会との関連を知っていたかを尋ねると、
「教職員が参加するイベントは原則として教職員自らが、総合的かつ適切に判断を行った上で、参加の有無を決定している。本イベントについては大学当局を通じて依頼がなされたものではありません」(東京大学)