これに対し、共和党は10月からバイデン政権が不法移民に寛容であることなどを批判。攻勢を強めた。選挙戦は最終盤で混戦模様となっていた。

 共和党を牽引してきたのがトランプ前大統領だ。上下両院の共和党候補を決める予備選で、多くの系列候補を推し、勝利させてきた。ただ、選挙戦は単純ではない。トランプ系候補は、移民の入国を防ぐ国境の壁建設など極端な主張を続けるため、予備選で勝利しても、民主党候補との一騎打ちとなる本選では中間層の票を取り込めずに苦戦するケースが多いのだ。

 例えばペンシルベニア州の上院選。トランプ氏は医師でテレビキャスターのオズ氏を支援。オズ氏は不法移民排除などトランプ氏の主張に同調し予備選を勝ち抜いたが、本選ではテレビで宣伝していた「やせ薬」に効果がなかったことなどが暴露されて苦戦。民主党のフェッターマン副知事との大接戦となっている。

 そのトランプ氏は2024年の大統領選に挑むのか。本人はやる気を見せているが、中間選挙でトランプ系候補が伸び悩んだ点を考えると、大統領選で勝利する可能性は低い。加えてトランプ氏は(1)21年1月の連邦議会襲撃事件でデモ隊を煽った(2)20年の大統領選でジョージア州の選挙管理の担当者にトランプ票を増やすように不正行為を迫った(3)フロリダ州の自宅に国家機密文書を持ち帰り、処分した(4)不動産事業に絡んで脱税を続けた──など多くの疑惑を抱えており、大統領選を戦うのは無理だという見方が強い。

 米国の歴代政権は中間選挙で与党の議席を減らす傾向がある。大統領選で国民の期待を集めて新政権が発足したのに、2年間では実績を出せずに、失望が募るというケースが多いからだ。17年1月に発足したトランプ政権も、18年11月の中間選挙では、共和党が下院で42議席も減らして民主党に多数派を引き渡している。09年に誕生したオバマ政権も、10年の中間選挙で与党の民主党が下院で63議席減らして193議席に落ち込んでいる。

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