悠仁さま12歳の誕生日に宮内庁から提供された写真。赤坂御用地の庭で3姉弟でシャボン玉で遊んでいた/2018年8月(宮内庁提供)
悠仁さま12歳の誕生日に宮内庁から提供された写真。赤坂御用地の庭で3姉弟でシャボン玉で遊んでいた/2018年8月(宮内庁提供)

 小室眞子さんが、司法試験受験中の夫の圭さんを支える──。結婚相手の経済力に頼る内親王の結婚システムは転換点を迎えている。AERA 2021年11月29日号から。

【写真】米国に向け出発する小室眞子さん、圭さん夫妻

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 11月14日朝(現地時間)、眞子さんは新しい人生の舞台、ニューヨークに到着した。圭さんは法律事務所に勤めながら、来年2月にニューヨーク州の司法試験を再受験する。眞子さんは「司法試験受験中の夫」を持つ一人の女性。なんの問題もない。

 と思っているのは私だけではない。と言いたいので、1冊の本を紹介する。『皇室、小説、ふらふら鉄道のこと。』だ。

女の人を不幸にする

 政治学者の原武史さんと作家の三浦しをんさんの共著で、深くて楽しい対談で構成されている。三浦さんが熱く語ったのは、「内親王の就職」だった。2人の結婚についてはこう言う。

「あの騒動で一番思うのは、なぜ男性の職業や稼ぎだけが問題になるのか、ということです。結婚相手がまだ稼げない状況にあるのならば、女性が稼げばいいのではと思うんですが、内親王の結婚は『専業主婦になること』を基本的な前提としているのかなと。(略)それって時代遅れじゃありませんか?」

 18年8月、小室さんが米国留学に旅立ってすぐの発言だが、今でも全く違和感がない。三浦さんは結婚相手の経済力に頼る内親王の結婚システムを、「これでは女の人を不幸にしますよ」と言った。女性皇族も「女の人」という立場で語っているのだ。そして、こんな提案をする。

「例えば会社で自分の仕事はしつつ、祭祀のスケジュールに合わせて有給休暇を取得することもできるんじゃないですか?」

 働くことは、人生への対応力。それが三浦さんの考え方だ。

そんなの気にしないで

 眞子さんは博物館で勤務をしていた。だが、三浦さんの提案した姿とはだいぶ違った。だからこそ、これからの眞子さんに期待したくなる。三浦さんのこんな言葉があったからだ。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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