ヤクルトの20年ぶり6度目の日本一で幕を閉じた今年のプロ野球。しばらくはオフの期間となるが、各球団ともに来季に向けて既に動き始めている。FAや新外国人などストーブリーグ以外の注目ポイントとして挙げたいのが現有戦力の再構成だ。
【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手!
立浪和義新監督が就任した中日ではセカンドの阿部寿樹が外野にも挑戦し、また根尾昂も来季は外野で固定すると言われている。他にもコンバートや配置転換によって復活、またブレイクしそうな選手はいるのか、今年のプレーぶりや特性から探ってみたいと思う。
まず投手でリリーフ転向を検討したいのが吉田輝星(日本ハム)だ。ルーキーイヤーの2019年には初登板で初勝利をマークしたものの、その後はなかなか結果を残すことができず、今年も一軍登板はわずか1試合に終わっている。二軍では先発でそれなりのイニングを投げても、一軍ではコントロールを気にして自滅するピッチングが続いているのが現状だ。最大の持ち味である打者の手元でホップするようなストレートも長いイニングではペース配分を気にしてか勢いが半減しているように見える。
それならばリリーフで少ない球数を思い切って投げ切った方が、その持ち味も生きるのではないだろうか。チーム事情を考えても今年は杉浦稔大が抑えで28セーブをマークしているものの絶対的な安定感はなく、昨年まで抑えを任せられていた秋吉亮もノンテンダーで自由契約となっており、パワーピッチャーのリリーフ投手は必要な状況である。藤川球児(元阪神)も先発で伸び悩んでいたが、プロ入り7年目の2005年に本格的にリリーフに転向して大ブレイクしており、球筋の似た吉田も同じようにリリーフとして大成する可能性を秘めているように見える。
逆にリリーフから先発への転向を検討したいのが高橋礼(ソフトバンク)だ。2019年には先発で12勝をマークしたものの、翌年はチーム事情もあってリリーフに転向。今年も開幕当初は先発を任されていたが、夏場以降は再びリリーフに回っている。アンダースローでありながら140キロ近いスピードが持ち味の投手だが、リリーフでは少し一本調子になっており、もうひとつの武器である緩急を上手く使えていないように見える。
また、奪三振が多いわけではなく、基本的には打たせてとるタイプの投手だけに、一発を恐れずに長いイニングをある程度の失点を計算しながら投げた方が持ち味は生きるのではないだろうか。チームのことを考えても、このような変則が一人いるとローテーションで緩急がつけられるというのもメリットである。藤本博史新監督がどう判断するか注目したい。