
結成50年の迎えるバンド「QUEEN」。今でも多くのファンを抱える伝説的バンドの魅力を、「クイーン紹介の立役者」である音楽評論家・東郷かおる子さんに聞いた。AERA 2021年12月6日号から。
【写真】元「ミュージック・ライフ」編集長で音楽評論家の東郷かおる子さん
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最近は神格化されすぎの感ありですが、本当のフレディって、すごくユーモア好きで、でも人にあれこれ言われると、すごく怒ったりして。
(クイーンのツアーで)他のメンバーは東京で取材できたのに、フレディだけができない。名古屋でも大阪でもダメ。福岡まで追っかけた。印刷所から悲鳴が飛んでくる。死ぬほど困りました。

メンバーのホテルの隣の古いビジネスホテルに泊まって(待っていたら)、やっと夜中に「今から来いとフレディが言ってる」と連絡が。ウワーッと行くと、やたら機嫌がいい。ならもっと早く取材させろよと(笑)。気分のアップダウンが激しい人で。でも会うとチャーミングで、可愛くて、憎めない。最終的に取材ができなかったことはありませんでした。
映画「ボヘミアン・ラプソディ」公開時、私も映画館に見に行き、隣の隣に座った50歳ほどの男性の様子をチラチラ観察してみた。映画が終わったとたんその人はカバンからタオルを取り出し、ウワーッと号泣し始めたんです。
クイーンみたいなバンド、いくら探しても前にも後にもない。4人の個性もクセになる。曲も古びない。懐かしいという感じがないんです。いい曲だな、あ、クイーンか、みたいな感じなんですね。
※AERA 2021年12月6日号