矢野監督(代表撮影)
矢野監督(代表撮影)
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 阪神・矢野燿大監督が4年目の指揮を執る来年のコーチ陣が発表されると、阪神ファンからため息が漏れた。新たに加わったのは、藤井康雄1・2軍巡回打撃コーチ、江草仁貴2軍投手コーチ、野村克則2軍バッテリーコーチ、工藤隆人2軍外野守備走塁コーチの4人。1軍のコーチ陣は今季と同じ顔ぶれだった。

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「今季前半戦に首位を快走しながら、V逸した原因の1つが拙守です。今年の86失策は4年連続12球団で最多。最少だった巨人の45個の2倍近い。土のグラウンドの甲子園を本拠地にしているためイレギュラーのバウンドが、人工芝より多いことは配慮しなければいけませんが、それにしても多すぎる。守っている選手たちに原因はありますが、指導するコーチ陣もテコ入れするだろうと考えるファンが多かった。それなのに来季も久慈照嘉内野守備兼バント担当コーチ、藤本敦士内野守備走塁コーチが留任。テコ入れしなかったことに驚きました」(スポーツ紙デスク)

 失策がすべてミスというわけではない。新人で遊撃の定位置をつかむなど今季大活躍を見せた中野拓夢はリーグワーストの17失策を喫したが、俊足で守備範囲が広いため他の野手では届かない打球を弾いて失策を記録されたことも度々あった。だが、中野を含めて足の運び、グラブさばき、送球の精度など守備の確実性を上げなければいけないのは事実だ。

 阪神の守備の綻びは首位を快走していた前半戦からも見られた。打球を互いに譲り合う場面が見られ、勝負所で手痛いミスも。打線が爆発して白星を重ねていたため目立たなかったが、後半戦に入るとこの課題が露呈する形となった。阪神は秋山拓巳、青柳晃洋、西勇輝、ガンケルなど内野ゴロなど凡打に打ち取ってアウトを積み重ねる投手が多い。守備力を高めなければ、長丁場のペナントレースを勝ち抜くのは厳しい。

 球団もこの状況に手をこまねいていたわけではない。今年の春季キャンプに、巨人の現役時代「守備の名手」として知られた川相昌弘氏(現巨人ファーム総監督)を臨時コーチに招聘し、選手たちは1軍キャンプ初日から3週間以上に及ぶ指導を受けた。ライバル球団のOBに教えを乞うのは異例だが、本気度がうかがえた。川相コーチの熱心な指導の下で基礎練習の反復を徹底して繰り返した選手たちから、「収穫がたくさんあった」、「守備の意識が変わった」と感謝の言葉であふれた。

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