安倍晋三(あべ・しんぞう)/1954年、東京都生まれ。93年に衆院旧山口1区から出馬し初当選。自民党幹事長、官房長官などを経て2006年、戦後最年少の52歳で首相となるが健康への不安から1年で辞任。12年に首相に再就任し、安保法制や特定秘密保護法などを成立させた。森友・加計問題、桜を見る会などスキャンダルも噴出した。20年に健康上の理由で辞任。通算在職日数、連続在職日数ともに歴代最長。21年11月、自民党最大派閥「清和政策研究会」の会長に就いた
安倍晋三(あべ・しんぞう)/1954年、東京都生まれ。93年に衆院旧山口1区から出馬し初当選。自民党幹事長、官房長官などを経て2006年、戦後最年少の52歳で首相となるが健康への不安から1年で辞任。12年に首相に再就任し、安保法制や特定秘密保護法などを成立させた。森友・加計問題、桜を見る会などスキャンダルも噴出した。20年に健康上の理由で辞任。通算在職日数、連続在職日数ともに歴代最長。21年11月、自民党最大派閥「清和政策研究会」の会長に就いた
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 首相にズバッと切り込んできたジャーナリスト、田原総一朗氏。週刊朝日100周年の記念企画として田中角栄氏以降、秘話を交えて振り返り、“独断”と“偏見”で歴代首相を採点してもらう。初回は、最長政権となった安倍晋三氏。(一部敬称略)

【安倍氏に足りないのは?田原氏による採点表はこちら】

*  *  *

田原総一朗氏
田原総一朗氏

「あなたは岸信介さんの孫だし、戦前の日本に戻す“歴史修正主義者”だと、米国は疑っている。とんでもないことだと」

 2013年12月26日、安倍晋三首相が靖国神社を参拝。それまでは首相の靖国参拝を批判するのは韓国と中国だったが、米国からも批判された。そこで後日、官邸で安倍さんに会って言った。

 なぜか。安倍さんの祖父・岸元首相は戦前の東条英機内閣の閣僚で、終戦直後には「戦犯」の被疑者として逮捕された。その後は公職追放の憂き目に遭ってきた。そんな「岸の孫」で右派色の強い安倍さんには、戦前の日本を正当化する「歴史修正主義者」の疑いの目が、欧米から向けられていたからだった。

「内閣を長続きさせたいならば、靖国参拝を二度としないほうがいい。そして、第1次安倍政権から掲げた『戦後レジームからの脱却』も二度と言わないほうがいい。(A級戦犯たちが訴追された)極東国際軍事裁判(東京裁判)の批判も、反米だと映るから言わないほうがいい」

 安倍さんは、第1次政権ができる前から「戦後レジームからの脱却」を掲げた。戦後日本政治を脱却し、もっと主体性を持つべきだとね。要するに、戦後の日本は米国の子分で、対米従属でやってきた。安倍さんの主張には安倍さんなりの筋があるんだろうけど、米国には明らかに歴史修正主義だとみられる。

 安倍さんはしばらく考えてから、「よくわかりました。田原さんのおっしゃるとおりです」と言った。靖国参拝、戦後レジームからの脱却、東京裁判批判──この三つを“封印”して内閣は長く続き、結果的に歴代最長を記録した。そう思っている。

 ただし私自身、安倍内閣のときに起きたことでその重大さに気づかず、大失敗したことがある。

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