(週刊朝日2021年12月17日号より)
(週刊朝日2021年12月17日号より)

 森友・加計学園の問題だ。金権政治になりやすい中選挙区制から小選挙区制へと変わり、長らく内閣のマネースキャンダルがなくなっていたため、この問題を当初は全く取材していなかった。森友問題は財務省が公文書を改ざんするというとんでもない事態を生んだ。“忖度”そのものだ。加計問題は大学の学部の認可をめぐって安倍さんの長年の友人に対する手心があったのではないかと疑われた。両方とも、とんでもないことだ。

 18年の総裁選の3選後、安倍さんと会った。「(世論調査などで)国民の7割以上が森友・加計は問題だとしている。自民党の国会議員も問題だと思っているはずだ。誰か、あなたに『問題だ』と言わないのか」と尋ねた。

 すると、「一人もいない」と言うわけ。僕は、加計問題についても指摘しておいた。

「何で当初、(長年の友人である加計孝太郎氏の学校なのに)『知らない』と言ってしまったのか。友人だけど審査は厳しくやれと言っておけばセーフだった。知らないなんて言うから大問題になった」

 つまり、長期政権で「安倍1強」になって、誰も自分に反対しないもんだから、緊張感が全くなくなったのね。油断してしまったのだろう。

「自民党議員はあなたへのごますりばっかり考えている。この国で何をすべきか、何をしたらいけないのかを全く考えていない。こんな無責任な連中ばっかりでは国が劣化し、危なくなる。心配にならないのか」と問い詰めた。安倍さんも悩んでいたようで、僕の指摘に対して「確かに心配だ」と話していた。

 安倍さんの地元後援会の人たちが多く招待されていた「桜を見る会」の問題を暴いたのは、共産党の田村智子参院議員だった。僕が、当時の菅義偉・官房長官に「とんでもないことだ。税金の私物化、自民党は腐っている」と指摘したら、菅さんは「弁解も反論もできない。ただ、安倍さんはわりと素直な人物だから、『やめなさい』と言われたらやめたんだ。どんな実力者もそう言わなかった」と弁解していた。

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