枠に留まらない活躍で注目される、ピアニストの反田恭平さんがAERAに登場。ショパンコンクールの過酷な戦いから1カ月、現在の思いを語った。AERA 2021年12月20日号から。
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ピアノに向かって弾き始めたのは、ショパンの「猫のワルツ」。軽やかに力強く、彼もまた楽しく踊っているようだった。
ショパンコンクールの過酷な戦いから1カ月、まず何をしたいかと聞くと、「温泉入りたいです」と照れる。愛車のBMWに乗って、ドライブに出かけたいとも。
「ピアニストは毎日ピアノを弾いていると思われがちですが、僕は自分が今やりたいことしか考えていない。家にいる時はもうぐうたら過ごしていますから」
ゲームに夢中で、スマホアプリのウイニングイレブンにはまっている。フルーツが大好きで、イチゴ、メロン、シャインマスカットなど冷蔵庫に欠かさない。
「音楽をやるうえで、童心というのは必ず忘れてはいけない要素の一つ。いつまでも子どもでいたいところもあります」
ピアノを始めたのは4歳頃。社宅の友だちと通ったが、小学校時代はサッカー少年だった。夢は警察官、消防士、プロサッカー選手と変わり、ピアノにも“ワールドカップ”があると知って、ピアニストの道へ進んだ。ショパンコンクールを目指した6年間、「サムライ」と覚えてもらえるように髪を結い、周到に準備を重ねた。