エッセイ集『カニカマ人生論』(清水ミチコ、幻冬舎 1540円・税込み)の書評をお届けする。
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モノマネタレント「清水ミチコ」ができるまでを綴ったエッセイ集。子供時代から現在まで、それぞれの話が面白く、よくこんなに細かく覚えているなあと感心させられる。
渋谷ジァン・ジァンでの初舞台を客席で観ていた永六輔に「キミみたいにレパートリーに対して辛辣なモノマネってのは、歴代いなかった」と認められ、各方面に宣伝してもらった逸話がいい。
本当は、人の目を気にしてしまうくらい小心という。しかし舞台では動じることなく、ときに毒まで放てるのはどうしてか?
「強心臓と弱神経」というエッセイでこう明かす。緊張する場面になると「怖くないフリ」だけに集中する。フリというのも一種のモノマネ。そういうマネを重ねているうちに就職の面接やいきなりのスピーチなど、どんな場面でも応用がきくようになるという。マネしてみる?(朝山実)
※週刊朝日 2022年11月11日号