■脇を固める名優も全員が「怪しい」

 吉高の相手役を務めるのは、現在人気急上昇中の俳優・松下洸平(34)だ。15年ぶりにあったヒロインとの運命に翻弄(ほんろう)されながら、次第に再び惹かれ合う現役刑事役を好演している。今年から「ぐるぐるナインティナイン」の人気企画「ゴチになります!」のレギュラーにもなり、一気に認知度を上げている。

「もともとは絵を描きながら歌うというペインティング・シンガー・ソングライターとして活動を始め、その後はミュージカルの世界へ。舞台を中心に活動を続けていましたが、転機となったのは2019年の朝ドラ『スカーレット』で主演の戸田恵梨香さんの相手役にオーディションで抜擢されたことでした。突然現れた謎のイケメン俳優に、朝ドラ好きの主婦層を中心にファンが拡大しました。今回、民放ドラマでは初の大役となりましたが、芝居も味があってうまいし、舞台を中心に活動していただけあって声もいい。芝居の強弱が非常に柔軟で、相手を巧みに立てられる俳優さんだと思います。本作では吉高さんの芝居をしっかり受け止める松下さんの存在も大きい。このままブレークするのは間違いないでしょう」(同)

 ドラマウオッチャーの中村裕一氏は、「最愛」の魅力を次のように語る。

「吉高&松下という2人の圧倒的な存在感もさることながら、サイドを固める俳優陣の演技も魅力として大きい。例えば梨央(吉高)のことを家族同然に見守ってきた弁護士・加瀬を演じる井浦新。さまざまなドラマを引き締めてきた彼の、多くを語らなくとも心情が伝わるその演技はさすがです。また、不正行為に関与していた後藤専務を演じるのは及川光博ですが、非情なキャラを見事に演じており、久々の“キラーミッチー”にゾクゾクしている人も多いのではないでしょうか。さらに、終盤に来て薬師丸ひろ子演じる梨央の母・梓、岡山天音演じる富山県警の刑事・藤井も一気に怪しくなってきました。もう誰が犯人でもおかしくない状況の中、この複雑な人間模様がどのようにつながっていくのか、そしてタイトルである『最愛』がどう帰結するのか、最後までじっくり見守りたいと思います」

 15年にわたって複雑に絡み合った人間ドラマがどのような着地をみせるのか、期待が高まる。(藤原三星)

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