「コンビニ百里の道をゆく」は、52歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。
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クリスマスが近づいてきました。昨年は新型コロナウイルスの感染が広がり、ローソンのケーキもお一人様やお二人様用など、ご自身用や少人数向けのケーキがよく売れました。今年は昨年よりも賑やかに過ごせるといいですね。
クリスマスと言えば、不思議な思い出があります。子どもの頃、私の家だけはサンタさんのプレゼントが26日の朝に届いたんです。「サンタさんも忙しいんだな」「でも忘れないでくれてよかった」などと思いつつ、「でも来年は25日にお願いします」とお祈りしたりしていました。いまでもなぜ、26日だったかはわかりません。単に毎年、親が前日に買い忘れていたのかもしれないですけど(笑)。
大学生になると世の中はバブル真っただ中でした。恋人とイタリアンで食事して赤プリでパーティー、なんてことがニュースになる時代。貧乏学生だった私は指をくわえて見ていました。結局、「バブル的なクリスマス」は体験しないままでしたが、それでもクリスマスにワクワクしなかったわけではありません。
イベントって、それ自体よりも、そのときの自分が自分なりに楽しむためにはどうしたらいいかな、と考えながら「準備している時間」が楽しい。あるいは仲間と過ごせるクリスマスなら、どうやったら仲間に喜んでもらえるか、そんなことをあれこれ言い合いながら過ごしていく期間もクリスマスの楽しみ方だと思うんです。
今年のクリスマスも、あまり大人数では集まれないなど、ある程度の制限はあるかもしれません。
そんな中でも、昨年の体験を皆が踏まえつつ、「集まれないなら、どうやって楽しむ?」「制限があるからこその仲間へのサプライズって考えられないかな」など、「準備する時間」も含めてクリスマスを楽しめるといいなと心から思います。
竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
※AERA 2021年12月27日号