連名で投稿した論文は21年4月、この分野のトップの一つ、米生態学協会の専門誌「エコロジー」(電子版)に掲載された。事前にチェックした研究者は「データを集めた人間は称賛に値する」と驚いていたという。
柴田さんの観察で、多くのカブトムシが夜にシマトネリコに集まり、昼まで活動を続けることが分かった。小島さんによると、シマトネリコを利用する台湾のカブトムシは、主に夜行性だという。「虫は、同じ種でも光や温度、えさで習性が変わることが知られている。外来植物と出合ったことで、本来なかった習性が引き起こされたとも言え、面白い結果だ」と話す。
ただ、なぜシマトネリコに集まるカブトムシが昼間も活動するのかはまだ分かっていない。木の樹液に関係がありそうだとにらみ、今夏はシマトネリコとクヌギで同じ時間採餌(さいじ)させて、カブトムシの体重の変化を調べ、学会発表も行っている。(朝日新聞科学医療部・香取啓介)
※AERA 2021年12月27日号