親の会ではその後も、障害児・疾患児育児との両立の壁となっている制度の改善を会社に要望。今年度には、障害・疾患児の場合、ベビーシッター費補助が18歳までに延長された。特に医療的ケア児の場合は放課後の居場所が非常に少なく、時間をかけて陳情してきたという。会は現在、会社の枠を超えて、報道機関で働く父母を中心に約70人の会に成長している。
「働き続けたいと考える親が多いにもかかわらず、その願いをかなえられる人は限られています。上司に理解があるとか頼れる祖父母が近くに住んでいるとか、偶然に左右されてはならず、両立支援の仕組みこそが必要です。障害児や医療的ケア児の育児は長期にわたって負担が重いため、親が心身を壊しやすく、貧困や虐待、ヤングケアラーといった問題と常に隣り合わせ。今後は産業の枠を超えて、仲間とつながり、理解と支援の輪を広げていきたいです」(工藤さん)
「ライフ」と「ワーク」を切り離すことはできない。労働人口が減少傾向の中、それぞれの状況に合った働き方を選べる制度の充実に期待が高まる。(フリーランス記者・宮本さおり)
※AERA 2022年10月31日号より抜粋