Bさん:私も似たような経験があります。訪問介護員として利用者宅を訪問すると、中には「あれもやって、これもやって」と、介護職をお手伝いさんと勘違いしているような人がいます。私たちの仕事は、あくまで利用者の生活に関わる介助なのに、「家族の分の布団も干しといて」「洗濯全部、やっといて」「犬の散歩しといて」とか。「それはサービス範囲外なんですよ」と説明すると、「金払ってるだろうが!」ってキレられたり。

Cさん:話が通じない人は本当に困ります。「ありがとう」の一言があれば、こちらも気持ちよく仕事ができるのに、命令口調ばかりでは、どうしても辟易させられます。

Aさん:逆にサービス提供者側を使うのがうまいな、という利用者もいますよね。「いつもありがとうね」「あなたがいてくれて助かってるよ」の言葉があれば、私たちも気持ちよく動ける。相手の目線に立って接することができる人だと、「できることはやってあげたい」という前向きな姿勢になれます。介護職である前に、一人の人間であることをわかって接してくれる人は、私たちもやりがいを感じられる。

Bさん:いろんな人間ドラマを目にするというか、見たくない部分が見えるときもあります。家族間のトラブル、相続の問題、はたまた痴情のもつれとか……。以前、利用者本人から妹だと紹介されていた人が、実は愛人だったということがあって、真っ昼間に妻と自宅で鉢合わせして修羅場になった場面に出くわしたことがあります。

Cさん:いろんな家族のリアルな姿を目の当たりにしますよね。親のことなのに「面倒なんで、そっちで全部やってください」という子どもや、「夫が死んだら知らせてください。それまでの連絡は結構です」という妻もいました。あまりに無責任だなと思う一方で、家族にはそれまでの積み重ねと歴史がある分、私たちがとやかく言えることではないし……。

Aさん:家族間で、施設への訪問回数を競う人たちもいました。面会に来ると言っても、ほんの数分で帰ってしまって、特に何か手伝いをするわけでもないのに、「ほとんど毎日来て、いろんなことを手伝っている」「私が家族の中で一番、介護に関わっている」と大きな声で競い合う。「遺産の相続を見越しての動きなんだろうな」と思わずにいられませんでした。その利用者は寝たきりで口もきけない状態でしたが、声は聞こえていたんじゃないかな。

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