「はこだてライナーは存続をお願いしたい」。函館市の工藤寿樹市長が発言すると、近隣の北斗市長や七飯町長も同調した。新幹線が停車する新函館北斗駅と函館駅間約18キロを結ぶライナーは、観光が売り物の函館圏にとっては生命線だ。
しかし、ほかの区間約130キロについて存続を望む声は沿線から聞こえてこない。地元自治体が及び腰になるのも無理はない。沿線人口は減る一方で、新幹線が開業すれば観光客の利用も見こめなくなるからだ。
北海道の試算によると、函館-長万部間を第三セクター方式で維持した場合、開業後30年間の累計赤字は816億円に達する。沿線からは「住民に多大な負担を強いることはできない」と、「バス転換やむなし」という声が強まっている。(朝日新聞編集委員・堀篭俊材)
※AERA 2022年10月31日号より抜粋