気象庁は10日、「エルニーニョ監視速報」を発表しました。ラニーニャ現象が続いているとみられ、春の間に平常の状態の可能性もあるが、ラニーニャ現象が続く可能性のほうが高いと予測しています。ただ、夏までには、平常の状態になる可能性が高いとしています。
2月の実況
2 月のエルニーニョ監視海域の海面水温の基準値との差は −1.1℃で、基準値より低い値でした。太平洋赤道域の海面水温は、中部から東部で平年より低くなりました。海洋表層の水温は、西部から中部で平年より高く、東部で平年より低くなりました。太平洋赤道域の日付変更線付近の対流活動は平年より不活発で、中部の大気下層の東風(貿易風)は平年より強くなりました。
このような大気と海洋の状態はラニーニャ現象時の特徴を示しており、ラニーニャ現象が続いているとみられます。
今後の見通し
実況で太平洋赤道域の東部に見られる海洋表層の冷水は、目先、東部の海面水温が低い状態の持続に寄与する見込みです。一方、西部に見られる暖水は夏頃に弱まりながら東進し、東部の海面水温を上昇させるとみられます。大気海洋結合モデルは、エルニーニョ監視海域の海面水温が、今後春の前半は基準値より低い値が続きますが、春の後半は次第に基準値に近づき、夏は基準値に近い値で推移すると予測しています。
以上のことから、今後、春の間にラニーニャ現象が終息し、平常の状態になる可能性もありますが(40 %)、ラニーニャ現象が続く可能性の方がより高くなっています(60 %)。その後、夏は平常の状態になる可能性が高いでしょう(70 %)。
西太平洋熱帯域 及び インド洋熱帯域の状況
• 西太平洋熱帯域: 2 月の西太平洋熱帯域の海面水温は、基準値に近い値でした。今後、春は基準値に近い値で推移し、夏は基準値に近い値か基準値より低い値で推移すると予測されます。
• インド洋熱帯域: 2 月のインド洋熱帯域の海面水温は、基準値より低い値でした。今後、春は基準値より低い値で推移し、夏は基準値に近い値で推移すると予測されます。
日本の天候 春は どうなる?
過去の統計によりますと、ラニーニャ現象発生時、春(3月~5月)の日本の天候は、平均気温や降水量には特徴がみられませんが、日照時間は西日本で平年並みか多く、北日本の太平洋側で少ない傾向です。
日照時間が少なくなると、農作物の成長に影響を及ぼす恐れもありますので、最新の情報を確認して、備えてください。