コロナ禍で失(な)くしたものは様々ですが、そのうちで最も大きなもののひとつが「雑談」。以前、友人であり文筆家でもある桜林直子さんに雑談の重要性を説かれたときにはピンときませんでしたが、ようやく、それが生活の潤滑油であることがわかりました。俗に言う「内容がない」会話から生まれるものや得るものが、多いということに。
ストレス解消、考えを整理する、ふとしたアイデアが生まれる、不安が解消される、などなど。面と向かってダラダラやるからこそ、気負わずに本音が漏れることもある。相手を目の前にするのとしないのとでは、安心感が違うことも、番組を続けていくことで気づけました。私と堀井さんにとっても、救済の時間なのです。コロナがなかったら、多くの人が私たちの会話に耳を傾けてくれることもなかったと思います。
おかげ様でイベントは大成功。なにより、互助会員のみなさんとお互いの顔が見られたことが喜びでした。
これからも、堀井さんとの雑談を続けていこうと思います。とにかく話し続けることが、日々の力になる。まだまだ気が抜けない毎日だけれど、私たちはバカ話を続けます。
○じぇーん・すー◆1973年、東京生まれ。日本人。作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニスト。著書多数。『揉まれて、ゆるんで、癒されて 今夜もカネで解決だ』(朝日文庫)が発売中。
※AERA 2022年10月24日号