日本よりも早く昨年11月ごろにBA.5が過半数を切った米国では、12月にはBQ.1とBQ.1.1が解析された新型コロナウイルスの6割を占めるようになった。しかし、米疾病対策センターによると、12月初旬に2.3%に過ぎなかったXBB.1.5がその後、急激に増え、1月8~14日の週には43.0%を占めるまでになった。
他の亜系統を抑えて増えるということは、他の亜系統に比べてウイルス自体の感染力が強かったり、ワクチン接種や感染によって体内にできた免疫の影響を回避する性質が強かったりして、感染が広がる速度がより速いということだ。このため、XBB.1.5の感染拡大により、感染者数の増大や、感染した場合の重症化率が高まるのではないかと懸念されている。
同様の懸念は、米国で昨年12月に主流になり、日本国内で現在、主流になりつつあるBQ.1系統(BQ.1.1含む)についても指摘されている。
疫学調査やウイルス分析、ワクチン接種を受けた人の血液を使った実験などから、BQ.1系統もXBB.1.5も、これまで主流だったBA.5に比べ、感染が広がる速度が速いとみられる。また、免疫を逃れる性質が強まっている可能性も高い。
1月17日に開催された厚生労働省の専門家会議での報告によると、BA.5と比較した感染が広がる速度は、XBB.1.5が1.47倍、BQ.1が1.19倍、BF.7が1.10倍と推計された。
世界保健機関(WHO)は1月11日、XBB.1.5についての暫定的なリスク評価を公表し、こう注意喚起した。
「まだ限られたデータしかないものの、XBBはBQ.1系統と並び、これまでに登場したあらゆる亜系統の中でもっとも免疫から逃れる力があるとみられる。XBBは世界的に感染者数を増加させる可能性がある」
オミクロン亜系統に対するワクチンの効果については、米エモリー大学などの研究チームが、昨年12月21日、米医学誌ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン誌に報告した。