ジャーナリストの田原総一朗氏は、先日亡くなったゴルバチョフ元大統領に言及する。
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8月30日に旧ソ連の最高指導者であったゴルバチョフ元大統領が亡くなった。
ゴルバチョフ氏は1985年に54歳でソ連共産党の書記長に就任し、「ペレストロイカ(立て直し)」を掲げて、経済、社会の改革を図った。89年12月には地中海のマルタで米ソ首脳会談を行って、冷戦終結を宣言した。90年3月にソ連の初代大統領に就任。この年にノーベル平和賞を受賞している。
冷戦終結が宣言される約1年前の88年12月、国連総会のためにニューヨークを訪れたゴルバチョフ氏を、レーガン米大統領と次期大統領に当選したばかりのブッシュ氏がマンハッタンの小島に迎えた。
「改革に一時的な後退が起きても、元の道に戻ることはない」と語るゴルバチョフ氏に、二人は「我々は本当の意味であなたを支持している」と伝えたという。
ただ、「ペレストロイカ」を実施したものの、ソ連の経済は好転せず、91年12月に大統領を辞任せざるを得なくなり、ソ連は崩壊した。
2001年、東京でキッシンジャー元米国務長官、ゴルバチョフ氏、そして中曽根康弘元首相らによるシンポジウムが行われた。私が司会を務めたのだが、このときのことは今もよく覚えている。
キッシンジャー氏とゴルバチョフ氏はとても話が合った。米ソ両国の相互の尊重が何よりも重要だと両氏は繰り返し強調し、「対話と協調」という言葉を何度も使った。
そして、このシンポジウムで中曽根氏が、「日本もそろそろ憲法改正をやらねばならないと考えている」と言い、私がまずキッシンジャー氏に「どうか」と問うた。
「米国としての建前はともかく、私としては日本の憲法改正には反対である。現在の憲法だから、日本は戦争をしない、平和な国として信頼できるのであって、戦前の日本は軍事大国として、中国、そして米英に戦いを挑む危険極まりない国だったからね。現憲法のままでいてほしいよ」