カ:残念なことに、最近は日本のニュースにウクライナのことが出なくなってきました。各地で演奏をしていても、日本の皆さんの印象が変わってきたと感じています。「もう落ち着いてるじゃないですか」「終わりが見えないから仕方がない」と。
日本の皆さんが支援してくださったことには、すごく感謝しています。たくさん募金をいただきましたし、現地まで物資を届けてくださった方、食事を配ってくださった方もいます。これからも支援してほしいというのは、ウクライナ人として申し訳ない気持ちです。
でも、今も続いているということは、わかってほしいです。
──カテリーナさんは戦争前からウクライナを知ってほしいと願い、自ら料理を作り、それを食べながら演奏を聴くイベントを行ってきた。最近はマリヤさんも参加するようになった。ただし母娘ではボルシチの作り方が異なるそう。マリヤさんはトマトを入れるが、カテリーナさんはトマト入りは嫌いだという。
マ:自分で育てた新鮮なトマトを入れたら、ボルシチはもっとおいしくなります。故郷の西部ではキャベツは入れませんけど、結婚して住むようになった東部ではキャベツを入れます。帰省したときにキャベツを入れて母に怒られたわ。ボルシチで大切なのは、豆とビーツ。肉が入ってなくても許せるけど、豆が入っていないのは絶対に許せない。肉ではなく魚の出汁(だし)で作るのもあるのよ(目を輝かせながら語り続けるが、後略)。
カ:ママと一緒にウクライナ文化の紹介を続けていきます。私にはそれしかできないから。戦争が終わったらウクライナに行ってみたいと思う方がいらっしゃれば、とてもうれしいです。
(本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2022年9月2日号